イサク( 、 ()、 ()、 ()、「彼は笑う」の意)は、旧約聖書の『創世記』に登場する太祖の一人。父アブラハム、母サラ。
アブラハムの妻サラは不妊の女であり、子を産まぬまま年老いていたが、三人の人が訪れてアブラハムに子供の誕生を知らせる。その言葉のとおりサラから生まれた子供にイサクと名づけ、イサクは元気に育った。ある日、神はアブラハムの信仰を試そうとしてイサクを焼き尽くすささげものとして供えるよう求める。アブラハムはこれに従った。イサクも直前になって自分が犠牲であることを悟ったが抗わなかった。アブラハムがまさに息子を屠ろうとした時、神はアブラハムの信仰の確かさを知ってこれを止めた(イサクの燔祭)。
神はアブラハムを祝福して言った。
イサクはカナンの女性リベカと結婚し、エサウとヤコブという双子の兄弟をもうけた。ヤコブは弟ながらエサウの受けるはずだった長子の祝福を横取りし、兄の怒りを恐れて伯父のラバンの元に身を寄せる。
やがて、ヤコブはエサウと和解して父イサクと再会した。ヘブロンにいたイサクは180歳でこの世を去った。
イサクが生まれる前、出産をあきらめていたサラは、エジプト人奴隷のハガルによってアブラハムにイシュマエルをもうけさせていた。ところが、ハガルは増長して主人のサラを軽視するようになり、サラの腹から生まれたイサクをイシュマエルがからかっている光景をサラが目にしたことから、サラはアブラハムに母子を追い出すよう迫る。アブラハムは神の「心配せず妻の言う通りにせよ(取意)」とのお告げを受けてこの母子を追い出す。母子は放浪のあげく、泉を見つけて安堵する。この系列はイシュマエル人としてヘブライ人(ユダヤ人)とは別の民族になったとして、旧約にも登場する(ヨセフをエジプトへ連行したのもイシュマエル人の隊商である)。のちに、アラブ人はこのイシュマエルを祖とするイシュマエル人の子孫と称し、アラブ人が開いたイスラム教ではイサクよりもイシュマエルが重視される。
ヘブライズムを前面に押し出す作曲家の一人であるスティーブ・ライヒはこの物語の神学的問題をパレスチナ問題と絡ませて「ザ・ケイヴ」というビデオ・オペラにしている。この物語はしばしば「ユダヤとアラブの宿命の対決」の起点として持ち出されるが、あくまで神話的な伝承に過ぎず、ユダヤ人・ユダヤ教徒とアラブ人・イスラム教徒が常に対立していたわけではないことにも注意すべきである。
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